n-MOSFETをスイッチとして使用した際の動作詳細
公開日:2017/12/26
先日、とある信号を電気的にスイッチングするために、MOSFETで簡単な回路を作成しました。その際、MOSFETのスイッチ動作について、意外と理解が浅いところがあり、しっかりと理解できていないことが判明したのでその備忘録を残しておきます。
n-MOSFETのスイッチング動作詳細
回路図
上のような回路を考えます。まずはIC-AからIC-Bに信号が伝わるフローを、次にその逆のフローを見ていきます。
信号がIC-A→IC-Bと伝わる場合
IC-AのポートがHiのとき
IC-AのポートがHi→Loのとき
IC-AのポートがLo→Hiのとき
信号がIC-B→IC-Aと伝わる場合
IC-BのポートがHiのとき
MOSFETの状態を考えます。MOSFETはOFF状態と考えられます。これは、もしON状態だとするとソース電圧はVdd-Vthより小さいことになり、これはIC-BのポートがHiであることと矛盾してしまうからです。
- トランジスタがOFF状態でPU抵抗があるため、IC-AのポートにはVddが見える
IC-BのポートがHi→Loのとき
- ドレイン電圧が小さくなり、寄生ダイオードに順方向バイアスがかかる
- ソース・ドレイン間電圧が寄生ダイオードの順方向電圧Vfを超える
- ドレインの電圧降下につられてソース電圧も小さくなる
- VgsがMOSFETのVthを超えるとMOSFETがON状態に遷移する
- MOSFETがON状態となるとソース電圧とドレイン電圧はほぼ等しくなる
- IC-Aのポートには0Vが見える
IC-BのポートがLo→Hiの場合
注意点
MOSFETを、単純にゲートに電圧をかけることでON/OFFを切り替えられる素子と考えていると、IC-AのポートがHiのときにそれがIC-Bのポートに伝わっていると勘違いしてしましますが、実はPU抵抗から電圧供給を受けています。
また、IC-BのポートがLoのときにIC-Aのポートに見える電圧はVfではなく0Vです。厳密には寄生ダイオードの等価抵抗とMOSFETのON抵抗で決まりますが、ON抵抗の方が十分に小さい傾向にあるため、PU抵抗を通った電流はほとんどMOSFETを流れ、IC-Aのポートは0Vとなります。
まとめ
たかがスイッチと高をくくっていましたが、動作を詳細に見てみると理解が浅いところがたくさん出てきました。今後もこういった理解不足はその都度備忘録として残していきたいと思います。もし同じように誤解していた人の参考になれば幸いです。
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